1. フルローンとは
物件価格全額をローンで賄うこと。さらに諸費用までローンに含める「オーバーローン」もあります。 本記事では 物件価格2,500万円を全額借入、諸費用175万円のみ現金 を「フルローン」と定義します。
2. サンプル物件(共通条件)
物件価格 2,500万円 月額家賃 10万円(年間120万円) 管理費・修繕 月 1.2万円 固都税 年 5万円 空室率 5% ローン金利 1.8%(変動)/ 期間35年(元利均等)
3. 自己資金20%ケース vs フルローンの比較
自己資金20% フルローン 借入額 2,000万円 2,500万円 月返済額 64,200円 80,200円 年間返済額 77.0万円 96.3万円 NOI(共通) 94.6万円 94.6万円 税引前CF +17.6万円 −1.7万円 DSCR (NOI ÷ 返済) 1.23 0.98 当初手出し現金 675万円 175万円
フルローンにした瞬間、DSCRが1を割って毎月赤字になります。 金融機関はDSCR 1.25以上を基準にすることが多く、本サンプルではフルローン融資自体が 通らない可能性が高いラインです。
4. ストレステスト:金利+1%上昇シナリオ
自己資金20% フルローン 金利 1.8% → 2.8% 新・月返済額 73,800円 92,300円 新・年間返済額 88.6万円 110.7万円 新・税引前CF +6.0万円 −16.1万円 新・DSCR 1.07 0.85
変動金利が1%上がるだけで、フルローンは 年間16万円の赤字に転落。 自己資金20%でもDSCRが1.07まで低下し、ほぼ余裕がなくなります。
5. ストレステスト:空室率20%シナリオ(地方・築古)
空室率を5% → 20%に
実効家賃 96.0万円
NOI 76.6万円
自己資金20% フルローン
税引前CF −0.4万円 −19.7万円
DSCR 0.99 0.80フルローンは 軽い景気変動で簡単に資金繰り破綻します。 2棟3棟と拡大するときは、1物件のショックが全体を巻き込みます。
6. 出口リスク:売却時に残債を消せるか
5年後シナリオ(年1%価格下落・残債は元金返済分減少)
自己資金20% フルローン
想定売価 2,378万円 2,378万円
残債 1,800万円 2,250万円
売却諸費用 (約100万円) (約100万円)
売却時手残り +478万円 +28万円フルローンは 売りたいときに売れない(残債が消せない)状態に陥りやすく、 塩漬けリスクが大きく上がります。出口の自由度がほぼ失われると考えてください。
7. それでもフルローンを使って良いケース
- ✅ DSCR 1.3以上を達成できる高利回り物件(地方一棟・利回り12%超など)
- ✅ 自己資金は厚いが、運用効率(レバレッジ)を最大化したい上級者
- ✅ 短期で売却前提の再販案件(バリューアップ → 1〜3年で出口)
- ❌ 新築/築浅区分マンションをフルローン → ほぼ全期間赤字+出口塩漬け
初心者がワンルーム新築をフルローンで持つのは、「現金が増えないどころか毎月貯金から補填する商品」を買っているのとほぼ同義です。
8. ツールでフルローン耐性を1分チェック
物件URLを貼ると、自己資金別・金利別・空室率別のCFとDSCRを並列で算出します。
